多段階昇温による土壌中炭素類の分別定量
近年、固体中全有機炭素 (TOC) の測定の重要性がますます高まっています。TOC含有量の測定は、今や単なる廃棄物の評価だけではなく、土壌の評価においても重要な指標です。当社のsoli TOC® cubeは、全有機炭素 (TOC) や全無機炭素 (TIC) に、従来型装置ではTOCと判別できない残留酸化性炭素 (ROC、元素状炭素ともいう) を加え、これらの異なる三種類の炭素形態の自動分別定量が行えます。従来の直接法や間接法によるTOC測定に加えて、多段階昇温法によりROCと区別されたTOC400という新しいパラメータの測定が可能になります。この新手法は酸添加などの前処理を必要とせず、時間節約というラボの運用効率改善に大いに役立ちます。
soli TOC cube 製品ハイライト
比類のない分析性能
検出限界 (LOD) 10 ppm (または15 μg) が市場最高の性能を実現
オートサンプラーが操作時間を節約
24時間365日の安全無人運転、自動燃焼灰排出
簡易なサンプル前処理
当社の最新クルーシブル技術が手間なサンプル前処理を簡素化
類を見ない分析ポテンシャル
異なる炭素種の分別定量に加え、オプションで全窒素 (TN) 定量が追加
特長
突出した検出限界10 ppm
soli TOC cubeは固体TOC測定装置として史上類を見ない感度を誇ります。測定範囲は炭素元素として0.001 ~ 100 %という広い範囲を有します。温度依存性を利用した異なる炭素種の分別定量を再現性良く行うためには、正確な多段階昇温が必須となります。これはクルーシブル (試料容器) 位置の温度を直接制御できるsoli TOC cubeのダイナミックヒータによって実現されます。これらの機能は、あらゆる熱的干渉を排除し安定した燃焼条件に寄与します。また、ポスト燃焼管内の触媒作用は、高濃度炭素を含有する試料でも定量的に完全に酸化燃焼させることができるため、高い測定品質が得られます。さらに、残留酸化性炭素 (ROC) と全無機炭素 (TIC) のピーク分離が不明瞭な場合には、soli TOC cubeの標準機能であるキャリガス切替によって克服できます。
オートサンプラーで楽々操作
soli TOC cubeは、日々のルーチン分析を大幅に簡素化するように設計されています。89検体用オートサンプラーは、24時間365日の無人運転用に最適化されています。また、最新の多段階昇温技術とクルーシブル技術のおかげで、手間な試料前処理は不要となります。帰宅直前に試料をオートサンプラーへセットして分析を開始し、翌朝の出社時に分析結果を確認できます。自動燃焼灰排出機構に加えて、装置の細部にまで簡単にアクセスできるように各コンポーネントが配置されているため、メンテナンスに掛ける労力を最小にします。さらに、工具不要のメンテナンスは、取り外した配管を再接続する際にガスのリークの発生を防ぎます。そのため、ほとんど拘束されることなく分析はスムースに行われ、得られる測定結果にご満足いただけます。
簡単な試料前処理
最新のクルーシブル技術により、最大3 gという大きな試料量でさえも簡単に分析が行えます。再利用可能なクルーシブル中に固体試料を秤量するだけで、時間のかかる均一化処理は不要です。これにより、soli TOC cubeは不均一試料を快適で精密に分析できる最高の装置です。また、公定法EN 15936に準拠したTOC測定も非常に簡単に行えます。セラミック製クルーシブル内で試料に直接的に酸を添加して、乾燥させて直ちに測定できるため、簡単、迅速、高い信頼性という利点があります。
幅広い分析ニーズに対応
soli TOC cubeは、オプションの全窒素 (TN) を含めて幾つかパラメータの分析が行えます。まず、多段階昇温プログラムにより、もしくは多段階昇温プログラムとキャリアガス切替機能との組み合わせにより、固体中の異なる形態の炭素種TOC400、ROC、TIC900の全てを分別定量できます。また従来法として、液体、固体に関わらず、クルーシブル内で酸処理した後に乾燥させて900°C以上でTOCを測定することもできます。これらは、公定法EN 17505もしくはEN 15936 / ISO10694に準拠しており、すべて1台の装置内で行えます。
製品の詳細
soli TOC cubeはTOC分析用に最適化されています。また以下の測定モードが利用できます。
固体モード
89検体用オートサンプラーを介して、固体試料中のTOC、TOC400、TIC、TIC900、TC、およびROCの定量
TNモード
電気化学式検出法による全窒素の同時定量 (オプション)
分析メソッド
酸素ガス雰囲気下で最高900℃の多段階昇温により、DIN19539に準拠した固体中のTOC400、ROC、TIC900の同時分別定量。測定中にキャリアガスとして酸化性ガス (酸素) の非酸化性ガス (窒素) を切替えることにより、ROCとTIC900のピーク分離能を改善可能。EN 17505に準拠した高温燃焼触媒酸化による固体中TOCの測定。オプションの電気化学式検出 (ECD) による全窒素 (TN) の同時測定。
広い検出範囲
- 炭素:数ppm - 100% (もしくは50mg) absolute
- 窒素:数ppm - 15% (もしくは20mg) absolute
簡単な前処理とハンドリング
特別な前処理を行うことなく、固体試料(最大3 g) をスチール製もしくはセラミック製のクルーシブル に秤量するのみ。
全自動運転
89検体用オートサンプラーとWindows®*PCによる制御により、試料のセット以外は自動無人運転が行えます。また、オプションの21 CFR Part 11対応ソフトウェアが利用できます。
準拠公定法
soli TOC cubeは、EN 17505、EN 15936、ISO10694、EN 13137など、国内および国際的な公定法に準拠します。
固体中TICの測定用アタッチメント soliTIC
炭酸塩 (TIC) を安全に酸分解してCO2として放出するアタッチメントで、soli TOC cubeの検出器でTICを測定します。なお、他の測定に支障をきたすことが無いため、このアタッチメントは恒久的に取り付けたまま使用できます。
試料量:最大5 g
測定範囲:0.5 µg - 100 mg absolute
全窒素 (TN) 定量
オプションとして電気化学式検出器 (ECD) による全窒素同時測定
測定制御・データ解析ユニット
標準的な日本語版Winsows®* PC、専用の制御・解析ソフトウェア、24インチモニター、インクジェットプリンター、プリンターケーブル、卓上プリンターラック。
便利アイテム
幾つかの便利アイテムを用意しています;固体試料用サンプルトレイ、装置性能確認用の標準物質、最大5段階の多段階昇温プログラム、など。