ガス、液体、炭酸塩類の同位体分析
iso FLOWは、バイアル瓶に封入されたサンプルの同位体分析を行うための完全自動化された連続フロー用前処理システムです。isoFLOWによるサンプル分析は、地球科学、気候変動、食品添加、水文学、臨床研究などの多様な分野に応用されるため、isoFLOWはi同位体比分析において多様なサンプル分析に対応したシステムです。
iso FLOWシステムは、液体や炭酸塩サンプルの同位体比分析において、他の一般的に使用されている技術にはない独自のメリットがあります。例えば、水のδ2Hとδ18Oの同位体比分析では、サンプルに含まれる溶存有機化合物や粒子状有機化合物による悪影響を受けにくいという強みがあり、元素分析装置に直接注入する方式よりも大きなメリットがあります。これは、果汁、ワイン、尿、河川水や汽水など、有機物を多く含むサンプルの分析に適しており、分析前にサンプルをろ過したり、蒸留したりする必要がありません。
純粋な炭酸塩物質の分析はデュアルインレットによる分析が理想ですが、アパタイトのような炭酸塩以外の塩を含むサンプルは、酸分解後に干渉を引き起こすハイドロキシアパタイトの存在があるため、不適です。このサンプルの場合、UltiTrapによるガス分離により、分析がより簡単になります。
isoFLOW ヘッドスペースガスアナライザーは、様々なマトリックス試料の高精度分析に理想的なシステムです。
iso FLOW 製品の特長
多機能分析
液体窒素を必要としないUltiTrapによるサンプルガスのダイナミックGC分離・分析拡張性の向上
高スループット分析
炭酸塩と水試料は最大180、ガスサンプルは最大220試料を一度に分析可能
高精度分析
水と炭酸塩分析の高精度分析を実現
ソフトウェアによるシステムの完全制御
LyticOSソフトウェアスイートによる流量やバルブの完全制御により、装置との接触時間を削減
特長
独自のGC分離システム
iso FLOWの革新機能として、EA-IRMSシステムで採用されたAPT(Advanced Purge and Trap)技術を応用した独自のGC分離カラム: UltiTrapが搭載されています。UltiTrapは目的に応じて様々な方法で使用することができます。定温モードでは、最高200℃までの温度で動作し、単一ガスサンプルの高速分析が可能です。ダイナミックモードでは、冷却と加熱は電子制御され、室温以下の温度まで冷却してサンプルガスの濃縮と分離を行うことで微量サンプルの高感度分析を実現しました。
あらゆるパラメーターをソフトウェア上で完全制御
iso FLOWの全てのパラメーターは、lyticOS®ソフトウェアスイート上で制御することができ、オペレーターの操作をより簡単なものにします。デジタルマスフローコントローラを使用することで、ガス流量の精密かつ安定した制御が可能であり、またメソッドによってガス流量を変更することができます。これにより、1つの分析シーケンス中に異なるメソッドを使用することができさらに、スリープ/ウェイクアップ機能によりガスの消費量を抑えることができます。
ハイサンプルスループット
iso FLOWシステムは、1回のシーケンスで温度制御サンプルを最大180個、非温度制御サンプルを最大220個分析することができる非常に優れたサンプルスループットを実現しています。加熱サンプルトレイの温度はlyticOS®ソフトウェアから直接制御でき、最高温度は90 °C、温度精度は ± 0.1 °です。 自動化されたサンプル前処理、サンプルバイアルからのサンプルガスの抽出・分析そしてlyticOS®によるデータ処理ツールを組み合わせることで、サンプルを迅速かつ容易に分析・処理することができます。
ユニークなニードルデザイン
iso FLOWヘッドスペースアナライザーを使用する場合、オペレーターによる分析前のサンプル調製作業は非常に少なくなります。これは、iso FLOW独自のマルチコアニードルにより様々な調整作業を自動で行うことができるからです。この装置は1本のニードルでサンプルバイアルを各ガスでフラッシュし、サンプルバイアルに試薬を供給し、最後に前処理されたサンプルを抽出してIRMSに導入・分析を完全自動で行うことができます。1本のニードルで前処理を行うことで、装置のセットアップを容易にし、メンテナンス作業を軽減し、さまざまな分析を機能的に処理することができます。
製品の詳細
呼気、純ガス、大気のd13C-CO2分析
ガスサンプルの分析は前処理を必要としないので、個々のサンプルを4分以内に分析することができ、大量のサンプルに対するハイスループット分析を実現します。サンプルガスは標準で12mlのサンプルバイアルで用意されますが、要望に応じて他のサンプルバイアルサイズに対応可能なので、iso FLOWはお客様の特定のサンプル要件に常に対応することができます。分析方法はオペレーターが決定することができ、一回分析または同一試料の複数回分析のいずれかを選択することができるので、常に最適な分析方法を選択することができます。
液体試料分析
iso FLOWは、様々なサンプルマトリックス中の水のδ18Oおよびδ2H分析において、高精度分析を提供します。iso FLOWにおける水の同位体分析には平衡法を採用しているため、分析前にバイアル瓶のヘッドスペースを平衡ガスに置換する必要があります。置換後、水とヘッドスペースガスの間の同位体交換が平衡にするために、サンプルを一定時間放置します。平衡に達した後(δ18O分析では通常4時間、δ2H分析では白金触媒を用いて90分)、iso FLOWによる平衡化されたサンプルの分析を始めることができます。iso FLOWは、実験室に設置するガスボンベ数を減らすために、各同位体分析で必要な平衡ガスを混合した平衡ガスで分析することも可能です。
炭酸塩分析
炭酸塩や溶存無機炭酸塩(DICs)の分析には、これらからCO2を抽出するためのリン酸が必要です。iso FLOWはベルト駆動のポンプではなく、ダイレクトドライブ方式のポンプを採用しているので、サンプルバイアル内へのリン酸供給が正確かつ高速であることが特徴です。180個の炭酸塩サンプルのリン酸分解反応が完了すると、iso FLOWは生成されたCO2の分析を開始し、100μgのサンプルに対して比類ない高精度分析を実現します。
iso FLOWは、単一の分析にも、ガス、水、炭酸塩すべてのサンプル種の分析ができる構成にも対応し、お客様のラボのサンプル分析要求に最適な方法でシステムを設定することができます。主な分析モードは以下の通りです。
- ガスモード: 最大220種類の純ガスおよび混合ガスの分析が可能です。呼気や大気に含まれるCO2のd13C分析用で、分析時間はわずか4分以内です。
- 液体分析モード: デュアルコアのマイクロボリュームニードルを使用しており、水サンプルを入れたバイアルのヘッドスペースに平衡ガスを注入し、数時間放置後、平衡ガスを抽出・分析します。サンプルの温度を一定に保つことが可能なサンプルトレーに最大180個の液体サンプルを分析することができます。
- 炭酸塩および溶存無機炭素(DIC)モード: これらの分析で必要なリン酸を注入するポンプは、その注入量を一定に保つためにダイレクトドライブ方式です。また、トリプルコアニードルにより、サンプルバイアルのヘッドスペースフラッシュ、リン酸注入、ガス抽出を一本のニードルで行うことが可能です。液体分析モードと同じサンプルトレーを使用し反応温度を30 - 90℃の範囲で設定し、1回のシーケンスで180サンプルを処理することができます。
- 呼気サンプル
- 大気主成分ガス
- 精製ガス
- 地下水、降水
- 海水、汽水、河川水
- 氷床コア
- フルーツジュース、ピューレ
- ワイン、ビネガー、スピリット
- 生物サンプル
- 炭酸塩を含む鉱物
- 生物源炭酸塩、土壌中の炭酸塩、アパタイト
- 溶存有機炭酸塩