同位体比分析用元素分析装置の主力製品
元素分析装置の同位体比分析(EA-IRMS)の主力製品であるvario ISOTOPE selectを紹介します。この元素分析装置は、堅牢性を持った信頼性の高いデータを出すことができ、最大300mgまでのサンプルの炭素、窒素、硫黄の安定同位体比を搭載したTPDカラムにより同時に分析できるように設計されており、高精度な分析結果を保証します。また、水のδ2H測定も可能で、メンテナンス性に優れた設計により、システムの稼働率を高めることができます。そして最先端のIRMSシステムと組み合わせることで、常に最高の分析結果を得ることができます。
vario ISOTOPE select 製品の特長
NCSとの同時分析において優れたピーク形状・分離を実現
樹木年輪など炭素量の多いサンプルに含まれる微量硫黄分の分析に最適です
微量窒素分析
ゼロブランクボールバルブによる窒素ブランク排除
操作しやすいソフトウェア
優れた自動化機能と低メンテナンス設計
240試料搭載のオートサンプラー
微量試料のハイスループット分析用
特長
温度プログラム脱離(TPD)カラムによる優れたピーク形状・分離
vario ISOTOPE selectは、NCS同時分析モードにおいて、9分以内に優れたピーク形状と完全なピーク分離を実現します。これは、特許取得済みのTPD(Temperature Programmed Desorption)技術によるもので、ガス分離カラムを段階的に加熱することで燃焼ガスを分離します。個々のターゲットガスは、先行するサンプルのピークがベースラインに達したときに放出される仕組みのため、極端な元素含有比を持ったサンプルであっても完全なピーク分離が保証されます。さらに、TPDテクノロジーでは、ガスを短時間で集中的に放出するため、高いS/Nを実現しています。最高1,200℃の電熱炉と、燃焼点への酸素のジェット噴射により、TPD技術は優れた精度と感度を実現しています。これにより、炭素量の多い樹木の年輪などのサンプルであっても、含有量が非常に低い硫黄分を検出することができ、NCS同位体分析に最適な装置となります。
ゼロブランクサンプルボールバルブ導入による微量窒素分析
vario ISOTOPE selectでは、ゼロブランクサンプル導入により、信頼性の高い微量窒素分析が可能です。また、酸素を試料に直接ジェット噴射することで、最小の酸素消費量で完全な燃焼効率を実現し、従来は燃焼が困難だった試料でもマトリックスに依存しない結果を得ることができます。また、最新の熱伝導率検出器との組み合わせにより、元素の検出限界を100ppm以下に抑えています。
デザインによる高い操作性
vario ISOTOPE selectは、大きなアッシュフィンガー、独立した燃焼管と還元管を備えているため、メンテナンス頻度でが非常に少なく、システムの稼働率が高くなるよう設計されています。工具を使わないユーザーフレンドリーなクランプによるガス配管接続、アクセスが容易なスライド式の炉は快適なメンテナンス作業を保証します。
最高のサンプルスループットを実現する240試料オートサンプラー
120または240ポジションのオートサンプラーを搭載したvario ISOTOPE selectは、24時間365日の無人分析と高いサンプルスループットを実現するために設計されています。分析中であっても、オートサンプラーへのサンプル追加は、いつでも可能です。
10年保証部品
高温燃焼炉と、熱伝導度検出器 (TCD) の 熱伝導度検出器セル (TCDセル) には10年保証を付与していますので、安心してお使いいただけます。また、長期的な視点に立った技術サポートとして、スペアパーツを最低10年間提供しています。これにより、トータルコストを大幅に削減し、お客様に投資効果を実感していただくことができます。
製品の詳細
vario ISOTOPE selectは以下の元素種のデルタ値分析に対応します。
- C: δ13C
- N: δ15N
- S: δ34S
- H: δ2H*
秤量範囲
マイクロ(20 µg)からセミマクロ(300 mgの土壌)まで、幅広い秤量範囲を実現
元素定量範囲
- C: 最大7 mg abs.
- N: 最大10 mg abs.
- S: 最大2 mg abs.
分析精度
元素分析精度(外部精度, 1s)
C, N, S < 0.1 %
安定同位体比分析精度(外部精度, 1s)
- δ13C: 0.1 ‰
- δ15N: 0.15 ‰
- δ34S: 0.2 ‰
- δ2H* (HDChrome): 0.5 ‰
分析時間
1元素あたり約3~4分、元素の含有量とサンプルの重量に応じて自己最適化されます。サンプルの種類、分析モード、構成によって異なります。
高温燃焼ユニット
最高1,200 °C(錫箔使用時は燃焼点で1,800 °C)で試料を完全に分解し、10年間の炉の保証が付いています。サンプルに直接酸素を噴射することで、燃焼時の酸素濃度が最も高くなり、ガス消費量も少なくなります。これにより、従来は燃焼しにくかったサンプルでも、100%の回収率が保証されます。
パージアンドトラップクロマトグラフィー
各ガスはTPDカラム温度を段階的に加熱することで放出されます。
ガスの放出(=カラムの加熱)は、先行するガスのピークがベースラインに達したときに開始され、オーバーラップのないピークのベースライン分離と分析時間の自動最適化を実現しています
検出器
熱伝導度検出器 (TCD)
サンプルセット
- 80*、120、または240*試料のオートサンプラー(固体およびカプセル封入液体)、分析中にサンプルの追加可能
- 洗浄バイアルと廃棄バイアルを備えた50試料の液体オートサンプラー*(2mlバイアル)、分析中に分析中にサンプルの追加可能
電熱炉最高温度
1,200 ° C (錫箔を使用した場合、一時的に1,800℃に到達)
機器制御
Windows®ベースのlyticOS® ソフトウェアスイートにLIMSを統合し、自動スリープ・ウェイクアップ機能で夜間の自動運転・無人運転を実現。
使用ガス
ヘリウム、酸素
寸法
48 x 55 x 57 cm (幅 x 奥行 x 高さ)