スイス ジュネーブのSCAV食品当局は、Elementarの技術を用いて食品分析の効率を高めています。
Alexander Scherl 博士は、ジュネーブ州の公式食品管理機関である SCAV (Service de la consommation et des Affairses vétérinaires) で働く科学者です。SCAV の主な責務の1つは、食品偽装を防止し、食品の真正性を管理することです。Scherl博士は、Pierre Zimmerliを含む同僚と協力して、毎年約 800 の同位体分析を行っています。
SCAVのScherl博士のチームは、Elementar の新しい機器に投資する事で分析対応力を拡張し、同位体比分析にも対応することにしました。 たとえば、炭素同位体レベルは、食品成分の起源が天然か合成か、さらに生産植物の性質に関する情報を提供できます。また窒素同位体は、飼料や肥料の起源が有機か合成かという情報を提供できます。さらに硫黄同位体レベルは、生育環境の地質化学的見地から食品の地理的起源を特定するのに役立ちます。そして酸素と水素の同位体比は、食品が栽培された気候情報を提供します。
この分野でのさらなる分析対応力の拡充のために、幅広い有機および無機サンプルの多元素同位体分析用に vario PYRO cube®を、水、フルーツ ジュース、ワイン、蒸留酒の分析用にiso FLOW Headspace analyzerを Elementar から2017 年 12 月に購入しました。これらの装置は、isoprime precisION 同位体比質量分析計に接続することで、粗悪な偽装食品の分析をする上で理想的な組み合わせとなります。このラボでは、UV および IR 分光測光法や LC および GC 分析などの一連の補完的な分析も行う事で、食品偽装から消費者を保護するための包括的な分析を行っています。
Elementar の装置の購入の決め手は、SCAV の研究室で必要とされるさまざまな同位体測定ニーズに対応しうる統合されたソリューションであるという点でした。さらに、さまざまなソフトウェア管理や複雑な分析機器のメンテナンス作業がラボ環境にとって重要課題であると認識していたScherl博士にとって、Elementar が提供する直感的操作が可能で強力なionOS ソフトウェアと、装置メンテナンスの簡便さも重要な判断材料でした。
Scherl博士はSCAV と Elementar との共同作業の経験について次のように述べています。
私たちは同位体測定に詳しくなかったので、Elementar から提供された食品アプリケーションに関する知見、国際基準の適用、詳細なトレーニング、さらには同位体測定のコツといった知識とサポートには助けられました。
Elementar のシステムを導入して以来、SCAV は同位体比技術を利用して、さまざまなインサイトを提供できるようになりました。 たとえば、サトウキビ糖を使用して製造する必要があるラム酒に炭素同位体比を用いて砂糖の植物起源を検証したり、最小限のトウモロコシで発酵させる必要があるバーボン ウイスキーの真正性を検証できるようになりました。さらに、酸素同位体分析は、地元で栽培されている果物かどうかを特定するのに役立ち、肉の多元素同位体比の分析と多変量解析により原産地の特定が可能になりました。
ある事例では、Elementar の安定同位体比分析ツールを使用して、地元の食料品店で収集されたスイス産とヨーロッパ産のイチゴの酸素同位体比を分析しました。このことにより、SCAV は、本物のジュネーブ産のイチゴと、偽のラベルが付いた暖かい地域産のイチゴとを判別する事ができました。 この偽装は後にトレーサビリティ文書によって確認され、ジュネーブにおける食品品質と信頼性の基準を高めるためにこれらのツールが重要な役割を果たすことを示しました。
SCAVについて
ジュネーブの Service de la consomation et des Affairses vétérinaires (SCAV) は、ジュネーブ カントンのにある機関で、食品、日用品さらにはアニマルヘルスの管理についても監督しています。
SCAVは公衆衛生を保護するために、ジュネーブの食品および水質基準の規制・評価、さらには食品業界にベストプラクティスガイダンスが適合されるための取り組みを進めています。
導入装置: | isoprime precisION stable isotope ratio mass spectrometer |
住所: | République et Canton de Genève |
詳細連絡先: | Email: alexander.scherl@etat.ge.ch |