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カスタマースポットライト:上海海洋大学、中国

上海海洋大学は、IsoPrime100を用いて、海洋生物の複雑な生態を解明しています。

Li Yunkai教授は、中国の上海海洋大学(SHOU)の国際海洋研究センターおよび海洋科学部の教授です。 Li教授の研究では、安定同位体分析を利用して、海洋種の複雑な生態を解明しています。 Li教授は、SHOUの栄養生態学研究所を率いており、Elementar IRMS機器を利用して、サメの生活に関する興味深い新しい見識を提供しています。

上海海洋大学 ロゴ

サメは、生息地が広範囲で、数多くの食物網に影響を与える捕食者です。 最近、世界のサメの個体数は、漁獲動向と生息地の劣化により減少していると報告されています。Li 教授は、サメの生態系におけるこれらの変化が世界的にもたらす影響を13C 安定同位体分析を用いて調査する研究 [1] に参加しています。一部のサメは、数か月から数年にわたって数千キロも餌を探すことができるため、特定のサメの行動を直接観察することは不可能です。そのため、安定同位体分析は、サメの栄養地理を理解する上で重要なツールです。 安定同位体分析を用いる事で、情報捕捉がむずかしいサメの行動を理解する事で、海洋保護区の作成や生息地の保護に役立ち、サメの個体数の減少を食い止めることができます。

他の研究では、Li 教授と彼のチームは、安定同位体を使用して、中央太平洋におけるマグロ、バショウカジキ、遠洋性サメの種の栄養関係を調査しました [2]。 この研究の安定同位体データは、遠洋性サメがマグロやカジキなどの他の遠洋性捕食者と同様の獲物と生息地を共有していることを示唆していましたが、ヨシキリザメやアオザメなどのサメ種の一部は、他の捕食者との同位体の重複は示されませんでした。 これらの調査結果は、遠洋性サメの多様な役割を強調するとともに、栄養関係が重複しない遠洋性サメ同士の相互作用についてより多くの情報が得られるという以前の調査結果を裏付けています。

最近、Li教授は、安定同位体と脂肪酸の分析を使用する事で、アメリカオオアカイカの地理的起源を追跡できる可能性を提示しました [3]。 アジアやヨーロッパの国々ではイカは重要な海産物であり、イカが漁獲された場所のトレーサビリティはますます重要になっています。 13C、15N、および段階的判別分析(SDA)を使用した脂肪酸分析を組み合わせることにより、太平洋の3つの異なる場所で捕獲されたアメリカオオアカイカを判別できることが示されました。

Li教授は、安定同位体分析の使用が海洋科学に大きな影響を与え続けると考えています。

海洋科学における安定同位体技術の応用は 2 つあります。 マイクロスケールでは、安定同位体を使用して、化合物固有の同位体分析などの技術を通じて、分子レベルでより正確な生物学的見識を深めます。 マクロスケールでは、安定同位体分析を使用して、大規模な生態系の発達と、種間の相互作用とその環境を把握します。

これらの技術がさらに発展するにつれて、Li教授はElementarが将来の研究を支援するのに適していると信じています。

Elementarによる革新的な新しい装置の開発は、海洋生態系における安定同位体の新しいアプリケーションに追従しています。 Elementarのサンプル前処理システムは優れているだけでなくメンテナンスが容易なため、私たちの研究室は世界クラスの研究を行うことができます。

上海海洋大学について

SHOUの起源は、1912年に設立された江蘇省水産学校にまで遡り、中国で最も伝統ある水産学校の1つです。 今日では、海洋科学、漁業、食品科学だけでなく、農業、科学、工学、経済学、芸術、経営、法律などの分野も網羅する総合大学に成長しました。

導入装置: 

IsoPrime100 IRMS

(legacy instrument, successor: isoprime precisION)
vario ISOTOPE cube elemental analyzer 
Agilent 7980GC with GC5 
MultiFlow headspace analyzer 

住所:

Shanghai Ocean University 
College of Marine Sciences 
999 Huchenghuan Road 
Shanghai, China 

詳細連絡先:

Email: ykli@shou.edu.cn 

Phone: +(086) 021 619 00 304 

引用:

[1] C. Bird et al. 2018. A global perspective on the trophic geography of sharks. Nature Ecology & Evolution, doi.org/10.1038/s41559-017-0432-z

[2] Yi Gong et al. 2018. Potential use of stable isotope and fatty acid analyses for traceability of geographic origins of jumbo squid (Dosidicus gigas). Rapid Communications in Mass Spectrometry, DOI.ORG/10.1002/RCM.8071 

[3] Yunkai Li et al. 2016. Trophic interactions among pelagic sharks and large predatory teleosts in the northeast central Pacific. Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, 483: 97-103  

Li教授執筆:   

(1) Li Y, Gong Y, Zhang Y, Chen X. 2017. Inter-annual variability in trophic patterns of jumbo squid (Dosidicus gigas) off the Exclusive Economic Zone of Peru, implications from stable isotope values in gladius. Fisheries Research, 187: 22-30. 

(2) Li Y, Zhang Y, Xu J, Zhang S. 2017. Spatial variations in food web structures with alternative stable states: evidence from stable isotope analysis in a large eutrophic lake. Chinese Journal of Oceanology and Limnology. 

(3) Li Y, Zhang Y, Dai X. 2016. Trophic interactions among pelagic sharks and large predatory teleosts in the northeast central Pacific. Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, 483: 97-103. 

(4) Li Y, Hussey N, Zhang Y. 2016. Quantifying ontogenetic stable isotope variation between dermis and muscle tissue of two pelagic sharks. Aquatic Biology, 25: 53-60. 

(5) Li Y, Zhang Y, Hussey N, Dai X. 2016. Urea and lipid extraction treatment effects on δ15N and δ13C values in pelagic sharks. Rapid Communication in Mass Spectrometry, 30 (1): 1-8. 

(6) Li Y, Zhang M. 2015. Ontogenetic changes in isotopic signatures of an omnivorous fish (Cultrichthys erythropterus) in East Lake Taihu, China. Journal of Oceanology and Limnology, 33(3): 725-731. 

(7) Li Y, Gong Y, Chen X, Dai X, Zhu J. 2014. Trophic ecology of sharks in the mid-east Pacific Ocean inferred from stable isotopes. Journal of Ocean University of China, 13(2): 278-282. 

 

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