窒素循環を解明するための理想的なソリューション
窒素は、非常にパラドックスな元素です。ほとんどの生物にとって窒素は不可欠であるにも関わらず、地球上で大量に存在する気体窒素を消費することができません。そこで、生物は様々なプロセスで生成される反応性窒素を利用してします。つまり、反応性窒素の生物学的利用効率は、生態系の生産性を大きく左右する要因となります。
産業革命による無機肥料の開発と化石燃料の消費により、人類は過去100年間、人口を爆発的に増加させた一方で、地球の窒素循環へ過剰な反応性窒素を供給し、環境に大きな影響を及ぼしています。
反応性窒素が環境中から失われると、スモッグ、酸性化、気候変動、富栄養化など、さまざまな環境問題が引き起こされます。反応性窒素化合物の安定同位体分析を行うことでこのような負の結果をもたらすメカニズムを解明する手がかりが得られ、ひいては陸上、大気、海洋の生態系における窒素のソース、シンク、循環を解明するための非常に有効な手段となり得ます。
EnvirovisIONは、大気中のN2Oや硝酸イオンの同位体分析用に特別に構成された安定同位体分析システムです。新しい硝酸イオン前処理法であるチタン(III)還元法*を利用することで、環境試料中の硝酸イオンの同位体分析を従来法よりも簡便かつ迅速に行えます。
EnvirovisION 製品の特長
優れた柔軟性
前処理もサポート
N2O分析だけでなく、硝酸の前処理法サポートします。
ハイスループット
1日あたり最大70サンプルの分析が可能です。サンプル処理能力を従来システムよりも40%向上させました。
高度なデータ解析
従来品とは比べものにならない優れた安定同位体解析ソフトウェア
使いやすさ
硝酸イオンの新しい前処理法であるチタン(III)還元法を用いて、24時間以内に硝酸イオンをN2O化
製品の詳細
EnvirovisIONは、以下のモジュールで構成される、環境水中の硝酸イオンの安定同位体分析のためのソリューションです。
isoprime visION 安定同位体分析装置
isoprime visION同位体比質量分析計は、優れたバルク同位体分析および化合物固有の同位体分析を提供します。使いやすさを重視して開発されたisoprime visIONは、シンプルであることが特徴です。安定同位体分析の全く新しい体験を提供します。日常的なメンテナンスから解放され、機器ではなく科学に集中することができます。このようにisoprime visIONは、まだ同位体比質量分析の経験が浅い研究室にも、安定同位体分析の可能性を切り開きます。
centrIONモニタリングガスハンドリングとインレットインターフェースシステム
centrIONはisoprime visIONシステムの強力な核となるものです。デジタル制御による完全自動化により、centrIONはisoprime visIONのインレットシステムの中心的なインターフェースとなり、装置のパフォーマンスチェックに必要なモニタリングガス導入を行います。
isoprime visIONに内蔵され、lyticOS®ソフトウェアスイートによってインテリジェントに処理されるcentrIONは、複雑なタスクを驚くほどシンプルに実行するためにシームレスに動作します。
centrIONを使用すれば、装置の日々のメンテナンスから解放され、研究に集中することができます。
lyticOS® EnvirovisION オペレーティングライセンス(データ取得およびデータ処理用)
lyticOS® ソフトウェアスイートは、isoprime visION安定同位体分析計のための画期的な新しいソフトウェアです。isoprime visIONとcentrIONと連動し、比類ないレベルのインテリジェントな制御を提供します。
lyticOS® は安定同位体分析のために開発・設計された、最も機能的かつシンプルなソフトウェアです。その機能的なれたユーザーインターフェースとは裏腹に、比類ない能力を発揮し、優れたデータを簡単に取得することができます。
さらにlyticOS® により、isoprime visION はサンプル分析前後でシステムのモニターを行い、サンプル分析の信頼性を補完するデータ付帯させることが可能です。
iso FLOW GHG:N2Oのδ15N・δ18O同位体分析
iso FLOW GHGは、大気中に微量存在するCO2とN2Oの高精度同位体分析を可能にするためのクライオフォーカスシステムを採用しています。また、化学トラップおよびガスクロマトグラフィー技術により、大気中の微量温室効果ガスと他の大気成分とを分離し、同位体分別を引き起こすことなく安定同位体比質量分析計に導入でき、これらの高感度分析を実現しています。
また、iso FLOW GHGにオートサンプラーを付属させたシステムによってハイスループット分析が可能になり、さらに独自開発のデュアルコアニードルを用いることでサンプルバイアルからN2Oガスを容易に抽出します。標準のサンプルラックでは、12ml、20ml、40mlのサンプルバイアルを使用することができ、また必要に応じてバイアルサイズをカスタマイズすることができます。
液体窒素自動供給器
液体窒素自動供給装置を使用することで、デュワーへの液体窒素再充填が容易になり、より高いサンプルスループットを実現します。
土壌・有機物の分析
反応性窒素の循環を制御するメカニズムを解明するために、燃焼型元素分析装置vario ISOTOPE selectを使用して、土壌や有機物のδ13C、δ15N、δ34Sを分析することができます。
メタン分析
iso FLOW GHGシステムは、大気中の微量成分でありながら非常に強い温室効果を持つメタンの分析が可能です。
メタンを高温炉(最高温度1500℃)で燃焼してCO2に変換し、高感度化のためのクライオフォーカスを行ってisoprime visIONに導入します。
- 地下水、表層水、海水中の硝酸
- 大気中のCO2とN2O
- 大気中のCH4 (オプション)
- 土壌と有機物(オプション)