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【新解釈】古代エジプトの世界 食生活を紐解くと…

Pharao mummy
6 分
古代エジプトの「食」と「富」をミイラが語る? 同位体分析で蘇る古代の暮らし

古代エジプトの人々がどんな食事をしてどんな生活を送っていたのか・・・ その答えは彼らの体の中に残されています
IRMS(同位体比質量分析法)を用いた研究により、単なる歴史の想像が科学的な証拠へと変わりつつあります

Fourel博士は、Elementarの分析装置を活用して、太古の栄養バランスと社会構造の実像を明らかにしました
 

 

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同位体は古代エジプト人の食生活について何を教えてくれるのでしょうか?
そして、彼らの食生活に関する調査結果から当時の経済、貿易、富について見えてくるものとは?

François Fourel博士は、数世紀前のミイラの安定同位体比を調査することで、その答えを探し当てようとしています 

なぜ古代エジプト人の栄養学の研究?

自然・人工的水系の生態学研究室の責任者として、地球上の過去の時代に関する生態学と生態生理学、そしてその時代に生きていた人々に関する重要な情報を提供する安定同位体の新しい分析技術の開発に取り組んでいます。 同博士が初めてミイラのサンプルを調査した目的は古代エジプトの気候変動を研究することでしたが、その研究を進める中で当時の人々の食生活に関する情報が得られることに気付きました。

François Fourel 博士は、フランス・リヨンにあるUniversity Claude Bernard Lyon 1 のCentre National de la Recherche Scientifique(CNRS)に所属する研究技術者です。

François Fourel 博士
François Fourel 博士

古代文化を理解する上で、なぜ栄養がそれほど重要な役割を果たすのかは明白です。 それは、栄養がさまざまな生活環境を反映するからです。食事が美味しかったかどうかではなく、どのくらい贅沢であったかということに着目することにより、当時の食糧事情と豊かさについて結論を導き出すことができます。また、使用された食材が地元産なのか、それとも輸入物のどちらであったかがわかるため、その当時の貿易を含めた社会・経済情勢も考察することができます。 さらに、農業技術がどの程度発達していたかいう点も、食事のバリエーションから知ることができます。従来、古代エジプト人の食生活について結論を出すためには、ヒエログリフを解釈する方法と、墳墓や集落跡に残された食物を分析するという2つの方法しかありませんでしたが、どちらも明確な事実よりもむしろ推測をもたらすにとどまっていました。

そこで、Fourel 博士は 第三の方法 を導入したことにより、明確な情報が得られるようになりました。

IRMS とは、軽元素の同位体比を決定するために使用される分析手法です

例えば、炭素、窒素、酸素の各元素ついて、その同位体比であるδ13C(炭素)、δ15N(窒素)、δ18O(酸素)が得られます

ここで同位体とは、原子核の陽子数が同じで中性子数が異なる元素(原子番号が等しく質量数が異なる元素)のことをいいます

 

同位体比を調べることにより・・・

動物と植物の窒素交換(つまり何を食べたのか)

食事の起源(草食動物由来もしくは肉食動物由来)

さらには水の起源に至るまで、多くの情報を得ることができます

Pharao mummy

入手困難なサンプル

その「第三の方法」とは、同位体比質量分析法(IRMS)を指します。

ミイラの硬組織と軟組織のそれぞれについて炭素・窒素・硫黄の組成を測定することで、古代エジプト人の食生活をより詳細に知ることができます。 またタンパク質の植物性と動物性の相対的な割合を決定することで、それらが陸生と水生のどちらに由来かについての推測を行うことができます。

放射線を出す不安定な同位体(放射性同位体)とは異なり、自然界に存在する安定同位体の比率は当時から現在まで変わらず保存されているため、現在の測定から得られる値であっても混じりけが少なく、古代エジプトにおける栄養状態の分析が可能です。 しかしながら、ミイラからサンプルを採集する度に歴史の一部とミイラの一部が永遠に失われるため、妥協を余儀なくされます。

そのため、古代の証人であるミイラは博物館にとって大変貴重なものであることから、研究者は博物館から展示用ミイラの貸出許可を得るために多大な努力と忍耐を必要とします。

ミイラからサンプルを採取するたびに、私たちは歴史の一部、そしてミイラの一部を永遠に失うことになります。

Fourel 博士は「博物館の学芸員との交渉は必ずしも容易なことではありません」と言います。
なぜなら、サンプルの採取はミイラを変化させてしまうからです

そのため、サンプル分析によって得られるであろう発見が、妥協するだけの価値があることを上手く説明することはかなりの難しさを伴います。 しかしながら、分析技術をさらに発展させることができれば、より少ないサンプル量からより多くの情報を引き出すことができます。 例えば、Elementarの元素分析装置 vario PYRO cube® を用いる多元素同位体比分析、Fourel 博士のこのニーズを満たします。 この装置により、1 つのサンプルから連続して多元素CNS を測定することが可能になり、必要なサンプル量を最小限に抑えることができます。 また前処理装置としてこの元素分析装置をカップリングした EA-IRMSの感度が向上したことで、Fourel 博士とそのチームは彼らの魅力的な研究分野で興味深い新しい知見を得ることに成功しています。

 

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詳細 関連情報はこちら

古代エジプト人の栄養に関する詳細情報

François Fourel's博士の研究についてさらに詳しくお知りになりたい場合は Journal of Archaeological Science誌に掲載された論文 “Diet of ancient Egyptians inferred from stable isotope systematics" をご覧ください。この論文では、彼の研究についてより詳細に説明されています。

François Fourel's博士のUniversity Claude Bernard Lyon 1における研究

CNRS(フランス国立科学研究センター)におけるFrançois Fourel's 博士の研究についてご紹介します。

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