高収穫量を可能にする方法:Bernd Honermeier教授インタビュー
データ分析で農業を変える! 作物収量を左右する要因をHonermeier教授が解き明かす
作物の収量を左右するのは、技術でも運でもなく、“見えない土壌の理解”です。
最新の育種アプローチや精密農法の進展を支えるのは、正確な元素・同位体分析による土壌・植物の把握力。
このアプローチを長年研究してきたBernd Honermeier教授が、その具体的な方法と分析の重要性を語ります。
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土壌を理解し、土壌分析の助けを借りて作物の収量を最適化する方法に関するシリーズの最終回です。
1998 年から2020 年まで、Justus Liebig University Giessen で作物生産学科長を務めたBernd Honermeier教授にインタビューしました。
Honermeier教授の経験に基づき、より高い収量を可能にする他の方法を見てみましょう。
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高収量を可能にする方法はたくさんあります。
Bernd Honermeier教授

Q 土壌の分析だけでなく、さまざまな植物の育種法についても調べられていますが、そこから導き出される将来の安定的な食糧生産へのアプローチとはどのようなものなのでしょうか?
A 精密農法のさらなる発展は、将来の農作物生産に大きな役割を果たすと考えます。具体的には、GPSとセンサーによって制御される農業機械を使って、耕地と植物群をその土地ごとに管理できるようになります。つまり、耕作から播種、雑草防除、真菌病制御、施肥に至るまで、土壌と植物のニーズに応じてあらゆる栽培方法がより正確に行われるということです。
Q ゲノム編集、つまり農作物の遺伝子改変について、どのような経験をお持ちですか?
A 交配育種法と並んで、将来的には、バイオテクノロジーもさまざまな交配種の育種をスピードアップしたり栽培植物品種を改良できると考えています。 この方法によって、作物品種の農学的な特性(例えば、菌類、バクテリア、ウイルスに対する耐性、干ばつ耐性など)を向上させ、より高い環境適応性と収穫量が期待できるようになります。

Q 土壌や植物の分析に加えて、どのようなことが農業に大きく変革をもたらすことになるとお考えでしょうか。
A 精密農法のさらなる発展は、将来の農作物生産に大きな役割を果たすと考えます。 具体的には、GPSとセンサーによって制御される農業機械を使って、耕地と植物群をその土地ごとに管理できるようになります。 つまり、耕作から播種、雑草防除、真菌病制御、施肥に至るまで、土壌と植物のニーズに応じてあらゆる栽培方法がより正確に行われるということです。
Q さらにその先は?
A もちろん農作物の研究者たちは、植物の成長と収穫量をさらに改善するための解決策に取り組んでいます。 そのひとつとして考えられるのが菌根菌の研究です。菌根菌は、植物の根と菌類との共生形態のひとつで、植物による水分や養分の取り込みに影響を与えます。 小麦を使った実験では、リンと水が不足した条件下で菌根化させることで、収穫量が増加することがすでに知られています。
また、その他に収穫量を増加または安定化させるための対策としては、土壌の保水性の向上があります。 それは、炭素(例:バイオ炭、発酵残渣、堆肥、わら、有機肥料、植物残渣)の表土や下層土への添加や、アグロフォレストリー(森林農法:同じ土地に樹木や農作物を一緒に植えて、植物同士や生態系の相互作用をもとに、農業・畜産業・林業を同時に行うこと)や、混作といった作物生産の多様化などです。
インタビューにお答えいただきありがとうございました。
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